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魂のライフサイクル 西平直 東京大学出版局 1997


答を出すことが重要なのではない。大切なのは、問いとつき合い続けること。
答えのでない永遠の問いとつき合い続けること。
それは、陰性を説明できるとか、永遠の問いに答えを出せるとか、そう考えてしまう意識そえ自体を打ち砕くため。
打ち砕かれるために、問いの前に立つ。
人生を説明したい。わかってしまいたい。人生を支配してみたい。
幸か不幸か、そうした私の欲は、かなり根深い。
簡単には消え去らない。止めようと思って止められるほど、底が浅くない。
そこから、少しでも解き放たれるとすれば、それは、永遠の問いの前に立ち続け、そのつど打ち砕かれる以外にはない。這い上がっては打ちのめされ、打ちのめされては這い上がる。
それは、人生をあるがままに受け入れるための、人生を豊かに生きるための、私にとっての「行」なのだろう。
うーむ、なんかおおげさ。


シュタイナー、ウィルバー、ユングの思想を、ライフサイクルの視点から捉え直してみた本。学者の書いた本らしく、おのおのの思想を整理したもので、もちろん実践とは何の関わりもない。

著者はエリクソンなどを研究している学者で、「死」をどう捉えるか、ということとライフサイクル論との関わりについて注目しているらしい。たしかに、「死」を考えないライフサイクルなんて、意味がない。三者三様に、「死」の独特な捉え方をしているので面白い。 学者らしく、読み込みも細かい。

もっとも、例えばシュタイナーの思想を解説する折には、『シュタイナーの中では、「死後の発達」と「子どもの発達」とが同じ論理で一貫していると気づいた時には、さすがに、たじろいでしまった』と、ややおっかなびっくりである。というか、別の表現を使うならば学者として用心深い。したがって思想としても、それほど踏み込んでいるわけではない。何かはっとするような、新しい視点を提供してくれているとか、そういうことはない。

最後のほうで、三者の思想を比較した表を作っているところなどが注意をひく。

まあ、全体として習作、スケッチという感じ。
衝撃的なのは、東大の助教授がアカデミックに本格的にシュタイナーを取り上げたという、このことでした。



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