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私物国家 広瀬隆 光人社 1997

これまでに起こったさまざまな不祥事事件。この事件の首謀者・容疑者がすべて実は「一族」として親類関係にあったという事実を解明している。
ロッキード以来、なにも改善がなされておらず、同じ事の繰り返しだという。この顔ぶれを見ると実際そう思うしかない。

この著者らしく、ねちねちと系図表などを作りつつ、こいつとこいつが親戚関係、こいつとこいつは婿養子、などと説明している。そして例によって「陰謀だ」という風に脅しを加える。


いろいろな系図が紹介されている。

国連の明石康氏が伊藤博文以来の台湾人脈・日立東芝三菱の原子力人脈に連なる人だったとは知らなかった。三菱系だそう。カンボジア派遣を推し進めたも道理、と書いてある。

武田薬品が関東軍・ミドリ十字と関わっていたということも興味深い。

政治家がゼネコンと結びついているというのは常識なのだろうが、この系図はなかなかすごい。ほんとに全部、繋がっている。これを見ると、橋本さんは大成建設ですか。中曽根さんは鹿島。小沢さんは福田組、竹下さんは竹中工務店。どうでもいいけど。


しかし、読んでみると、一族として「陰謀」を巡らせていたというよりは、この国の支配層が一握りの集団に固定してしまっているために、たまたま似たような名前があちこちに出てくるというのに過ぎないようにも思える。

まさしく、この国は特権階級によって支配されているらしい。

これではまるで一昔前の共産国家である。かつて独裁国を見ながら、「まったく民主主義でない遅れた国というのはしょうがないなー」とやや優越感も交えつつ嘆いたふりなどしていたものだが、この日本ほど「共産国」的なところもないのであった。またよくふざけて「日本はもっとも成功した社会主義国だった」というが、この特権階級支配を見ると、洒落になっていない。強力な中央集権体制といい、実は恐怖の「隠れ社会主義国」である。

著者は、こうした”一握りの特権階級”のことを考えてか、所得税法式の税法を否定してむしろ消費税を支持している。
金を使えば、使うほど税金が安くなるという点を大企業の乱脈経営などの原因として結び付けている。
これでは金を使ったものがその責任を問われないことにつながるので、使ったものがそれなりの税金を取られて物事の後始末を付け、使わない者は責任を取る必要のないという消費税の利点を強調している。一般的な意見と違って、珍しいことを言う。

著者お得意の、原子力問題についてもいろいろ書いてある。
ダム建設のトリックに触れていて、いわゆる揚水ダム、というもののごまかしを説明している。揚水ダムというのは、落とした水を再びくみ上げてまた落として発電するのだが、これ、実はトータルの発電量はマイナスになってしまう。そんなものがなぜ必要なのかというと、夜間に発電を止めることのできない原発の電力を汲み上げ用として割り振るためである。要するに原発を成り立たせるためだ。ここでもゼネコンだの原子力推進派などの利害がからんでいる。
また96年の電力卸し売りの自由化の際に多量の申し込みがあったことで、原発が必要だという主張が怪しいことが分かったという。しかも入札価格は電力会社よりも安く、その経営努力が足りないことを示す結果となった。

こうした説明の憎々しげな「左」寄りの口調は一貫していて、”罵声”のような暗いトーンを帯びている。ある人にとっては快感なんだろうなあ。でも関係のない私のような人間が読むと、なんだか笑ってしまう。くせになりそうなところが怖いが。




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