魂のライフサイクル 西平直
東京大学出版局 1997
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うーむ、なんかおおげさ。
シュタイナー、ウィルバー、ユングの思想を、ライフサイクルの視点から捉え直してみた本。学者の書いた本らしく、おのおのの思想を整理したもので、もちろん実践とは何の関わりもない。 著者はエリクソンなどを研究している学者で、「死」をどう捉えるか、ということとライフサイクル論との関わりについて注目しているらしい。たしかに、「死」を考えないライフサイクルなんて、意味がない。三者三様に、「死」の独特な捉え方をしているので面白い。
学者らしく、読み込みも細かい。 もっとも、例えばシュタイナーの思想を解説する折には、『シュタイナーの中では、「死後の発達」と「子どもの発達」とが同じ論理で一貫していると気づいた時には、さすがに、たじろいでしまった』と、ややおっかなびっくりである。というか、別の表現を使うならば学者として用心深い。したがって思想としても、それほど踏み込んでいるわけではない。何かはっとするような、新しい視点を提供してくれているとか、そういうことはない。 最後のほうで、三者の思想を比較した表を作っているところなどが注意をひく。
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