この本はこの前の「evah」で山川鉱夫・亜希子氏が紹介していたが、初めて知った本だった。結構人気があるのだそう。
(「evah」はいつもこのエッセイだけ立ち読みしている。11月号は
「ラザリス」の紹介だった。これも知らない。)
はじめに1930年頃出版されたという。近年、内容がすばらしいということで改めて「発見」されたのだが、作者の身元も、良く分かっていないという、珍しい
出かたをした本。
古い本といっても、実際古さはほとんど無い。普通、飛行機だろうというところが船になっていたりという程度で、
あとはマスターとかいう人物の「教え」が直接書かれているだけなので、こちらも初版がそんなに昔だったということは、読んだ後に知ったことだった。ほんとかなあ、
などともつい、思ってしまう。
なにしろ薄くて、軽く、中身も一本調子で単純なもの。話の前半、「マスター」を求めて探し回るところは、なんだか苦笑したくなるのだが、そこには逆に、単純なものの強さみたいなものがあって、
単語の一つ一つが重いような錯覚が生まれる。ひとが感動したというのも、考えてみるなら納得がいく。それは単純なあまり、
文章の意味が読む者に直接伝わるからに違いない。
内容的にはいわゆる最近のチャネリング本とほとんど重なってくるといっていい。
こんな似通ったことをずっと昔に言っていたということ自体驚き。つまり、思考が現実を作っているのだから
注意しろ、そして望ましい現実を引き付けるために、心に像を描きなさい、といったよくある
話・・・当人のいうところの「宇宙の法則」、である。もう、ほぼこれしか言わない。
こういうことが、薄い、活字の大きい文章でとつとつと述べられていくので、
思わずひざをたたいて、うーむ、なるほど、などと感心してしまう。
これが真実かどうかということは、あまり問題ではない。
人間は知らず知らず、心の中で取り引きをする。勝手に法則を作って、それに見合う運や幸福しか
受け取ろる事が出来なくなってしまいがちだ。たとえば、自分が受け取れるのはこれだけだ、と成功に対して身をひいてしまったりする。
この本によって、そういった根拠のない決め付けに気づくことが出来るかもしれない。